Yさんはお話し遊びのオオカミの手の小道具を身につけ、ままごとをしていたKさんのところへ行きました。そして「トントントン。お母さんですよ。(しゃがれた声で)と言うとKさんが「お母さんはそんな声じゃないよ!」とお話遊びのセリフを言いました。Yさんは「ちっ。バレたか。」と言い、またドアを叩く真似をしました。「トントントン。お母さんですよ(しゃがれた声で)」と言うとKさんは「オオカミさん、どうぞ○○してください。ご飯作りましたよ!」と言いました。お話し遊びの内容とは違っていましたが、YさんもKさんの誘いに嬉しそうにのり「はーい!○○していたんです!」と言い一緒におままごとを始めました。(前田記)
「オオカミと7匹のこやぎ」の劇遊び体験が遊びの中での展開されていく様子を担任が捉えて保育日誌に記録しました。子どもたちは見たこと、感じたことをすぐに表現遊びとして楽しんでいくということがわかるシーンです。オオカミになりきっていた子は部屋に入ったらこやぎを食べようと想像していたはずです。ところが「どうぞ入ってください。ご飯作りましたよ。」と言う優しいセリフを聞いて、一瞬で怖いオオカミからお客さんになりました。しかも「はーい、お腹が空いていたんです」という絶妙な言葉を返していました。これが子どもたちのごっこ遊びの世界です。どうしてこんなにタイミングよく楽しく遊べるセリフが出てくるのでしょうか。想像力が高いと言ってしまえばそうかもしれませんが、そのためには仲間と一緒に「今」を思い切り楽しむ体験が積み重なってのことだと思います。